展示会レポート

【展示会レポート03】中古住宅市場の拡大とZEH改修支援
~省エネ改修がもたらす新たなビジネスチャンス~

はじめに

日本の住宅市場はこれまで「新築重視」で成長してきました。しかし、人口減少や少子高齢化により新築住宅の着工数は縮小し、住宅政策は「ストック活用」へと大きく方向転換しています。

国土交通省の統計では、2023年の新設住宅着工戸数は約82万戸と、1973年のピーク(約190万戸)から半分以下にまで減少しました。一方、国内の住宅ストックは6,200万戸を超え、そのうち築30年以上の住宅は2,000万戸に達しています。

こうした状況を背景に注目されているのが、「中古住宅の流通促進」と「省エネ改修支援」です。特に、中古住宅購入と同時に省エネ改修を行うことで最大300~400万円の補助を受けられる「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)改修支援制度」は、ストック活用とカーボンニュートラルの両立を促進する重要な施策となっています(2025年10月時点)。

HOUSEMEDIA編集部が取材した展示会でも、不動産会社・リフォーム会社・管理会社などが「中古市場は今後の成長領域」と語り、補助金を活用した提案が積極的に紹介されていました。


中古住宅市場拡大の背景

人口減少と老朽化住宅

新築需要の減少と人口動態

・日本の人口は2008年をピークに減少へ転じ、2025年には1億2千万人を下回る見込み
・世帯数も2023年をピークに減少局面に入り、2030年には減少幅がさらに拡大
・新築需要は人口・世帯数の推移と密接に相関し、縮小は避けられません

住宅ストックの高経年化

・国交省によると、2022年時点で築40年以上のマンションは約125.7万戸
・10年後には約2.1倍、20年後には約3.5倍に増加と予測され、改修対象は急増
・木造戸建てを含めれば、改修需要はさらに拡大。

図1:中古住宅流通シェアの国際比較

中古住宅流通シェアの国際比較

出典:国土交通省『中古住宅流通・リフォーム推進事業』

米国は約80%、英国(イングランド)は約85%が中古住宅取引に対し、日本は14%にとどまります。つまり、中古市場は未開拓の成長分野といえます。

消費者意識の変化

・「新築でなくても自分らしくリノベーションすればよい」という意識が浸透。
・都市部では「立地重視」で中古を選び、補助金活用で省エネ改修を行うケースが増加。


ZEH改修支援制度の詳細

表1:ZEH改修支援制度の概要

ZEH改修支援制度の概要

出典:国土交通省、経済産業省(2025年公表資料)※2025年10月時点の情報です。申請前に必ず最新の募集要項をご確認ください。

対象工事

・断熱改修:窓交換、内窓設置、断熱材の追加
・高効率設備:エコキュート、ハイブリッド給湯器、エネファーム
・再生可能エネルギー:太陽光発電、蓄電池、V2H

補助額

・補助対象経費の1/3以内
・地域区分・改修内容により最大300〜400万円
・他制度との組み合わせでさらに負担軽減が可能

申請要件

・中古住宅の購入と省エネ改修の実施が前提
・工事仕様が省エネ基準を満たすこと
・書類・施工写真の不備に注意


消費者メリットの具体像

メリットを調査する人々

・費用負担の軽減:例)300万円の改修→100万円補助→実質200万円
・光熱費削減:断熱窓+高効率給湯器+太陽光で年間10〜15万円削減
・快適性向上:結露防止、遮熱、災害時の電力確保
・資産価値向上:省エネ性能が売却時評価を押し上げる


事業者メリットと営業現場での活用

不動産会社

・「中古購入+リフォーム+補助金」ワンストップ提案で差別化
・補助金提案導入で成約件数が前年比1.5倍になった例も

リフォーム会社

・補助金を絡めた提案で受注率向上
・返済計画に補助金効果を示すと即決率が上がるケースも

メーカー

・補助金対象製品リスト配布で来場者の関心を喚起
・名刺交換数が1.5倍に増加

管理会社

・共用部改修への補助金適用事例が管理組合からの相談獲得につながる


展示会での事例紹介

・窓メーカー:補助金対象モデルの強調展示でアンケート回収率140%
・給湯器メーカー:補助金額一覧リーフレットが比較検討に好評
・不動産会社:中古+リノベの事例動画で滞在時間が平均15分に
・管理会社:大規模修繕の補助金活用事例で役員クラスの商談を多数獲得


よくある失敗と注意点

・書類不備による不交付(施工写真の規定違反が特に多い)
・対象外製品の誤提案によるクレーム
・契約書に対象工事が明記されていないケース
・予算消化を読み誤り、案内したのに補助金が使えない例

ある工務店では営業と施工の情報共有不足により要件未達の施工となり、顧客トラブルにつながった事例もありました。最新情報の共有体制が不可欠です。


消費者心理と補助金の影響

・補助金あり:「今がチャンス」「損をしたくない」と即決につながりやすい
補助金なし:検討はするが予算面で先送りが増える
・営業現場で補助金あり/なしの試算を提示すると、8割の顧客が補助金ありを選択したという声も


将来展望

・国は中古住宅流通シェアを2025年に20%、2030年に25%へ拡大する目標を設定【国交省 中古住宅流通・リフォーム推進事業】
・新築の6割を2030年にZEHとする方針と合わせ、中古の省エネ化は必須
・中古+改修市場は今後10年で10兆円規模に成長と予測【経産省 リフォーム市場関連調査】


まとめ

中古住宅市場は今後も拡大が見込まれ、ZEH改修支援をはじめとする補助金制度がその成長を支える重要な要素となっています。補助金は消費者の意思決定を促し、事業者にとっては営業ツールとして強力に作用します。

展示会取材からも、補助金対象と掲示するだけで来場者の注目が集まり、商談が深まる実効性が確認できました。制度を正しく理解し活用する企業こそ、顧客から選ばれ、社会的価値を高めていく存在となるでしょう。

HOUSEMEDIA編集部は今後も現場で役立つ確かな情報を提供し、企業の補助金活用を支援していきます。

2025年12月