はじめに
日本の人口減少と都市集中の進展により、地方の住宅市場は大きな転換期を迎えています。過疎化や高齢化に伴う空き家の増加、地域経済の縮小は、地方創生における重要な課題です。一方で、国の脱炭素政策やエネルギー価格の高騰を背景に、省エネ施策を住宅市場に取り入れ、地方創生につなげようとする動きも広がっています。
地方における住宅政策と省エネ施策の連動は、地域課題の解決と市場活性化を同時に実現できる可能性を秘めています。本稿では、背景や市場動向、制度の仕組み、展示会や営業現場での事例を整理し、出展企業が営業や販促に活かせる視点を提供します。
背景や市場動向
図1:空き家率の推移(全国平均・概数)

出典:総務省「住宅・土地統計調査」(直近公表値をもとに編集)
地方では人口減少と高齢化が進行し、住宅需要の減退と空き家の増加が顕著になっています。総務省の調査によると、空き家率は全国平均で13%を超え、地方によっては20%に迫る地域も見られます。こうした状況は深刻な課題である一方、住宅市場に新たな需要を生み出す余地も残されています。
特に注目されているのが、省エネ改修と移住促進の連動です。都市部から地方への移住を検討する人々にとって、自然環境や住空間の広さは魅力ですが、古い住宅の寒さや光熱費の高さは不安要素となりがちです。断熱改修や高効率設備の導入によってこうした課題を解消できれば、移住ニーズを取り込みやすくなるでしょう。
また、観光資源と組み合わせた空き家再生も広がっています。古民家を省エネリノベーションし、宿泊施設や地域拠点として活用する取り組みは、地域経済の活性化につながっています。地方創生に関する自治体独自の支援も拡充しており、資金計画とあわせて提案できるかどうかが、出展企業にとっての差別化ポイントとなります。
展示会や営業現場での事例
地方創生と省エネ施策をテーマにした展示会では、さまざまな具体事例が紹介されています。
ある地方工務店は、築50年の古民家を断熱改修し、太陽光発電と蓄電池を導入してゲストハウスとして再生しました。宿泊客からは「古民家の趣を残しながら快適に過ごせる」と好評で、地域観光の拠点として稼働しています。営業担当者は、「省エネ改修を組み込むことで持続可能なビジネスモデルになった」と説明していました。
また、移住促進イベントでは、省エネ改修済みの空き家が紹介され、参加者からは「寒さや光熱費への不安が解消された」といった声が多く聞かれました。
さらに、不動産会社が地方都市のマンションを省エネ改修し、賃貸住宅として再生した事例もあります。光熱費を抑えられる物件として学生や若年層に支持され、入居率の改善につながったといいます。これらの事例は、営業提案の参考となる具体的な成功モデルといえるでしょう。
よくある失敗・注意点

地方創生と住宅市場における省エネ施策には、多くの可能性がある一方で、注意すべき点も存在します。
一つ目は、地域特性を十分に考慮しない計画です。都市部と同じ発想で改修を進めた結果、交通利便性や生活インフラの不足がネックとなり、入居者が集まらないケースがあります。地域の生活実態を踏まえた提案が不可欠です。
二つ目は、補助制度への過度な依存です。補助金を前提とした計画は、制度変更や予算不足によって事業が立ち行かなくなるリスクを抱えます。制度を活用しつつ、補助金がなくても成立するモデルを意識することが重要です。
三つ目は、省エネ効果の過大評価です。改修効果は住み方や利用状況によって変わるため、営業現場では実測データやシミュレーションを用い、現実的な説明を行うことが信頼につながります。
将来展望
地方創生の推進に伴い、住宅環境整備の一環として省エネ施策の重要性は今後さらに高まると考えられます。国の脱炭素政策のもと、省エネ性能の高い住宅や再生可能エネルギー導入は、地方での移住促進や地域経済活性化と結びついていくでしょう。
特に注目されるのが、地域エネルギーマネジメントの導入です。太陽光発電や蓄電池を備えた住宅が連携し、地域全体でエネルギーを最適化する仕組みは、災害時のレジリエンス強化にも寄与します。
さらに、DXやAIの活用によって、省エネ住宅の運用効率が高まり、遠隔管理や見守りサービスとの連動も進むと見られます。これにより、地方に暮らす高齢者や移住者の安心感が高まり、地域全体の魅力向上につながるでしょう。
まとめ

住宅市場における省エネ施策は、人口減少や空き家増加といった地域課題に対する有効な解決策の一つであり、地方創生を後押しする要因となり得ます。
移住促進や高齢化対応のニーズに対し、省エネ改修は快適性・経済性・環境性を兼ね備えた提案として注目されています。展示会事例からも、省エネ改修が観光や移住促進に直結し、地域経済の活性化に貢献していることが明らかになりました。
一方で、地域特性を無視した計画や補助金依存、省エネ効果の過大評価といった失敗も見られます。営業担当者には、現実的かつ誠実な提案が求められます。
将来的には、再生可能エネルギーやAIを活用した地域エネルギーマネジメントが普及し、地方の住宅市場は「エネルギー自立」と「地域活性化」を両立する方向へ進むでしょう。地方創生と省エネ施策は、出展企業にとって今後の営業・販促活動に欠かせないテーマであり、地域社会に貢献する姿勢を示すことが競争力を高める鍵となります。
2026年2月









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