止水対策とは

止水対策とは

止水ナビでは、大雨や内水氾濫などによって建物へ流れ込む水を、出入口や開口部で抑えるための止水対策を扱います。
止水板をはじめ、設備を常設する方式、必要時に取り付ける方式、床面に自立させる方式、比較的短時間で設置できる方式など、設置方法や運用方法の異なるさまざまな製品があります。

止水対策を選ぶ際は、製品の種類だけでなく、設置場所、想定される浸水高さ、求める止水性能、設置に使える時間や人員、床・壁などの状態を確認することが重要です。

建物の出入口に設置された止水板による浸水対策

建物には、どこから水が入り込む?

大雨や内水氾濫では、道路や敷地内にたまった水が、建物の低い場所や開口部から流れ込むことがあります。止水対策では、まず「どこから水が入り込む可能性があるか」を確認することが重要です。

工場・倉庫のシャッター・搬入口の止水対策

シャッター・搬入口

工場や倉庫などのシャッター・搬入口は開口幅が大きく、浸水時には水の流入口となる範囲も広くなる可能性があります。開口幅や設置条件に応じた止水方式を検討します。

エントランス・出入口の止水板設置

エントランス・出入口

人の出入りが多い場所では、浸水対策と日常の通行を両立する必要があります。扉や枠、床面の状態なども重要な選定条件です。

地下駐車場・地下スロープの止水対策

地下駐車場・駐車場スロープ

地下駐車場へ下るスロープは、周囲との高低差や排水条件によっては、雨水が入口へ流れ込みやすくなります。スロープの勾配や床面の状態、止水する位置などを確認することが重要です。

止水対策には、どんな方式がある?

止水板・止水設備には、必要なときだけ取り付けるものから、設備を常設しておくものまでさまざまな方式があります。
止水ナビでは、製品を比較しやすくするため、設置構造と使用方法をもとに「脱着式」「常設式」「自立式」「簡易固定式」の4タイプに分類しています。
建物や開口部の条件、想定される浸水高さ、必要な止水性能、設置にかけられる時間や人員などによって、適した方式は異なります。

※ここで紹介する4タイプは、設置・運用方法の違いをもとに止水ナビが整理したものです。メーカーによって製品の名称や分類は異なり、複数の特徴をあわせ持つ製品もあります。

脱着式

必要時にパネルを取り付けて使用するタイプ

平常時は止水パネルを取り外して保管し、大雨や浸水のおそれがあるときに、開口部に設けられた取付部・支柱・レールなどを利用してパネルを設置します。

使用しないときは開口部を広く使えるため、工場や倉庫の搬入口、建物のエントランスなど、日常的に人や車両が通行する場所にも採用されます。

複数のパネルを積み重ねるタイプや、大きな開口部に中間支柱を設けるタイプなどがあります。

ポイント

  • 平常時は開口部を通常利用できる
  • 必要時だけパネルを設置
  • 比較的大きな開口部にも対応しやすい
  • パネルの保管場所や設置人員を考えておく必要がある
脱着式の設置例
製品や設置・保管の画像はすべてイメージです。

常設式

床や壁などに常設した設備を、その場で展開するタイプ

止水設備をあらかじめ開口部に組み込み、浸水のおそれがあるときに、起こす・閉じる・降ろすなどの操作によって止水状態にする方式です。

止水板を別の場所から運ぶ必要がないため、比較的短時間で展開できることが特徴です。

床面に収納されたパネルを立ち上げるタイプ、壁際から横方向に閉じるタイプ、上部から降ろすタイプなどがあります。

ポイント

  • 止水設備を常設
  • 必要時にその場で展開できる
  • 設置作業を短時間にしやすい
  • 設備導入時に施工が必要となる場合が多い
常設式の設置例
製品や設置・保管の画像はすべてイメージです。

自立式

建物に固定せず、床面に置いて自立させるタイプ

壁や柱、専用レールなどに固定せず、製品自体の形状や構造によって床面に自立させて使用する方式です。

事前工事を必要としない製品もあり、必要な場所へ運んで設置できます。製品によっては、複数枚を連結して広い範囲を対策することもできます。

L字形など水圧を利用して安定させるタイプや、複数のパネルを連結して広い範囲を囲うタイプなどがあります。

ポイント

  • 建物側への固定を基本的に必要としない
  • 工事不要で設置できる製品もある
  • 床面の状態や勾配など、設置条件の確認が必要
  • 複数枚を連結して広い範囲を守れる製品もある
自立式止水板の設置例
製品や設置・保管の画像はすべてイメージです。

簡易固定式

マグネットや突っ張りなどで開口部に簡易固定するタイプ

専用の恒久的な支柱やレールを設けず、マグネット・突っ張り・圧着などを利用して、開口部に止水材を簡易的に固定する方式です。

比較的小さな出入口やエレベーター前、設備室などでも検討しやすく、大掛かりな施工を必要としない製品もあります。

製品によって固定方法や対応できる開口幅、止水性能が大きく異なるため、設置場所との適合確認が重要です。

ポイント

  • マグネット・突っ張り・圧着などで固定
  • 大掛かりな施工を必要としない製品が多い
  • 比較的短時間で取り付けやすい
  • 小~中規模の開口部に適した製品が多い
簡易固定式止水板の設置例
製品や設置・保管の画像はすべてイメージです。

4タイプの違いを比較

タイプどう使う?建物との関係
脱着式パネルを持ち出して取り付ける支柱・レールなどを使用する製品もある
常設式その場で起こす・閉じる・降ろす設備を常設
自立式床面に置いて自立させる建物に固定しない
簡易固定式壁・枠などに簡易固定するマグネット・突っ張り・圧着などで簡易固定

※製品によっては、複数の方式の特徴を併せ持つ場合があります。

設置場所によって、止水方式の選び方は異なります

同じ止水方式でも、設置する場所によって検討しやすさや確認すべき条件は異なります。開口部の形状や日常の通行、床面の状態、災害時の運用方法などを踏まえて検討することが重要です。

設置場所脱着式常設式自立式簡易固定式
シャッター・搬入口◎ 検討しやすい◎ 検討しやすい○ 条件により検討△ 条件を要確認
エントランス・出入口◎ 検討しやすい○ 条件により検討○ 条件により検討◎ 検討しやすい
地下駐車場・駐車場スロープ◎ 検討しやすい◎ 検討しやすい△ 条件を要確認△ 条件を要確認

※上表は設置場所ごとの一般的な傾向です。実際に検討できる方式は、開口幅、床面・壁面の状態、想定される浸水高さ、求める止水性能、運用条件などによって異なります。

「想定される浸水高さ」と「求める止水性能」は別に考える

止水対策を選ぶときは、「どこまで水が来る可能性があるか」と「その水の侵入をどの程度まで抑えたいか」を分けて考えることが重要です。対応できる浸水高さが同じ製品でも、水の漏れ方や止水性能は異なる場合があります。

「浸水高さ」と「止水性能」の違い
※図は考え方を示すイメージです。実際の対応高さや止水性能は製品によって異なります。

想定される浸水高さ

止水設備を設置する位置で、どの程度の高さまで水が来る可能性があるかを確認します。ハザードマップや過去の浸水状況、周辺道路との高低差、設置場所の高さなどが参考になります。道路面と設置位置の高低差によって、想定する浸水高さが変わる場合もあります。

例えば、設置位置で50cm程度まで水が来る可能性がある場合は、その高さに対応できる製品を候補として検討します。

求める止水性能

水が来たときに、建物への侵入をどの程度まで抑えたいかを考えます。同じ浸水高さに対応する製品でも、漏水量や製品仕様によって止水性能は異なります。

止水ナビでは、専門的な等級ではなく、「できるだけ水の侵入を抑えたい」「多少の漏水は許容できる」「応急的な対策でよい」といった考え方から条件を確認します。

対応できる浸水高さが同じでも、止水性能が同じとは限りません。

そのため、止水対策は「高さ」だけで選ばず、設置場所や求める止水性能、設置方法、災害時の運用などをあわせて確認することが重要です。

止水性能の目安「Ws等級」とは?

止水製品を比較するときは、「どの高さまで水に対応できるか」だけでなく、どの程度、水の侵入を抑えられるかも重要です。

JIS A 4716では、漏水量をもとに止水性能をWs-1~Ws-6の6段階に区分しています。

数字が大きいほど漏水量が少なく、Ws-6が最も漏水量の少ない等級です。

Ws等級ごとの漏水量のイメージ

Ws等級ごとの漏水量のイメージ
※画像は漏水量のイメージをわかりやすく説明したもので、実際の漏れ方や水の広がり方を正確に再現したものではありません。
※水量のイメージは一時間・水圧面積1㎡あたりの漏水量を2Lのペットボトルの容量に換算したものです。

Ws-6でも「完全防水」ではありません

Ws-6は、1時間・水圧面積1㎡あたりの漏水量が1L以下という基準です。
そのため、Ws-6であっても「水が一滴も入らない」「完全防水」という意味ではありません。
また、製品によっては**「Ws-6相当」**などと表示されている場合があります。製品を比較する際は、等級だけでなく、試験時の水位や設置条件なども確認することが大切です。

止水対策を選ぶときに確認したい6つのポイント

止水対策は、製品の種類や価格だけで決めるものではありません。設置場所の条件や想定される浸水高さ、災害時の運用方法などを総合的に確認して選ぶことが重要です。

設置場所・開口部の状態

開口部の幅や形状、床面の段差・凹凸、壁・柱の位置などを確認します。設置場所の条件によって、使用できる止水方式が変わります。

想定される浸水高さ

ハザードマップや過去の浸水状況、設置位置と周辺道路との高低差などを参考に、どの程度まで水が来る可能性があるかを確認します。

求める止水性能

できるだけ水の侵入を抑えたいのか、多少の漏水は許容できるのかなど、必要とする止水性能を確認します。

設置に使える時間・人員

豪雨時に誰が設置するのか、何人で作業できるのかを確認します。製品の重量や設置時間、運搬方法も重要です。

常設・保管の条件

設備を常設できるか、取り外す部材や本体の保管場所を確認します。設置場所までの距離も考慮します。

平常時の利用・災害時の運用

人や車両の通行を妨げないことに加え、夜間・無人時を含め、災害時に確実に使用できる運用体制を確認します。