シャッター・搬入口の止水対策

シャッター・搬入口の止水対策

工場・倉庫・物流施設などのシャッターや搬入口は、開口部が広く、浸水時に大量の水が建物内部へ流れ込む可能性があります。
開口幅や想定される浸水高さ、求める止水性能、設置時の運用方法などによって、検討できる止水対策は異なります。

工場・倉庫のシャッター・搬入口の止水対策

シャッター・搬入口は、浸水経路になりやすい開口部です

シャッターや搬入口は開口幅が大きく、屋外との高低差が少ない場所もあります。大雨や内水氾濫などで敷地内に水が流れ込むと、開口部から建物内部へ浸水が広がる可能性があります。

開口幅が大きい

シャッターや搬入口は開口幅が大きいことが多く、浸水時には水の流入口となる範囲も広くなる可能性があります。

床面から水が入りやすい

屋外との高低差が少ない場合、敷地内にたまった水がそのまま建物内部へ流れ込むことがあります。

浸水時の被害が大きくなりやすい

工場や倉庫では、設備・商品・原材料・電気設備などへの被害につながる可能性があります。

シャッター・搬入口で検討できる4つの止水対策

シャッターや搬入口の止水対策には、設置方法や運用方法の異なる複数の方式があります。開口幅や想定される浸水高さ、求める止水性能、設置に使える時間や人員などを踏まえて、候補となる方式を検討します。

脱着式

◎ 検討しやすい

必要なときに止水パネルを取り付ける方式です。使用しないときはパネルを取り外せるため、日常の車両や人の通行を妨げにくく、工場・倉庫などのシャッターや搬入口で検討しやすい方式です。

常設式

◎ 検討しやすい

止水設備を開口部周辺に常設し、必要なときに起こす・閉じるなどして使用する方式です。緊急時の設置作業を短縮しやすい一方、設備を常設するためのスペースや既存設備との取り合いを確認する必要があります。

自立式

○ 条件により検討

壁や支柱への固定を基本的に必要とせず、製品自体の構造によって床面に設置して使用する方式です。大掛かりな固定工事を抑えられる製品もありますが、床面の状態や開口幅、想定される浸水高さなどによって適否が異なります。

簡易固定式

△ 条件を要確認

マグネットや突っ張りなどを利用し、壁・枠などに簡易的に固定して使用する方式です。比較的短時間で設置できる製品もありますが、固定できる場所や開口幅、想定される浸水高さ、求める止水性能などによって設置可否が異なります。特に大型の搬入口では、他の方式も含めて検討します。

※適性は一般的な傾向です。実際に設置できる方式は、開口幅、床面の状態、想定される浸水高さ、求める止水性能などによって異なります。

シャッター・搬入口の止水対策を比較

方式によって、対応しやすい開口幅や設置方法、施工の有無などが異なります。製品ごとの性能や設置条件も確認しながら検討することが重要です。

比較項目脱着式常設式自立式簡易固定式
使い方必要時にパネルやシートなどの部材を取り付ける常設された設備を起こす・閉じる・スライドさせるなどして使用本体を所定の床面へ設置して使用マグネット・突っ張りなどを利用し、壁・枠などに簡易的に固定して使用
対応する浸水高さ低~高水位まで幅広い。数十cm~1m程度の製品が多いが、より高い水位に対応する製品もある低~高水位まで幅広い。設備仕様によって高い浸水高さに対応する製品もある比較的低~中水位向けが中心。ただし製品構造によって対応高さは異なる比較的低〜中水位向けが多い。製品や固定条件によって異なる
止水性能の傾向高い止水性能を持つ製品も多い。性能は製品・設置条件によって異なる高い止水性能を求める用途にも対応しやすい。性能は製品仕様によって異なる製品差が大きい。浸水被害の軽減を主目的とする製品もある製品や固定方法による差が大きい。求める止水性能に合うか確認が必要
大きな開口への対応中間支柱や連装によって対応できる製品がある大開口に対応する設備・製品がある複数を連結して対応できる製品がある開口幅や固定方法、壁・枠の条件によって異なる
事前工事支柱・レール等の事前工事が必要な製品がある一方、既設のドア枠・サッシ枠等を利用して工事不要で設置できる製品もある設備を常設するため、設置工事が必要な製品が多い工事不要で設置できる製品もある工事不要で設置できる製品もある。固定条件によっては部材の取り付け等が必要な場合がある
災害時の運用保管場所から部材を運び、取り付ける常設された設備を操作する本体を所定位置へ運搬・設置する所定の位置に固定して設置する。比較的短時間で設置できる製品もある
保管パネル・支柱等の保管が必要な製品が多い別途保管を必要としない製品が多い本体の保管場所が必要な製品が多い本体・部材の保管が必要な製品が多い
主な確認点部材の重量・枚数・設置人数・保管場所設置スペース・施工条件・日常動線・維持管理床面の状態・勾配・設置スペース・運搬方法開口幅・壁や枠の材質・固定できる位置・床面の状態

※ここで紹介する4タイプは、設置・運用方法の違いをもとに止水ナビが整理したものです。メーカーによって製品の名称や分類は異なり、複数の特徴をあわせ持つ製品もあります。

シャッター・搬入口の止水対策を選ぶときのポイント

シャッター・搬入口の止水対策は、開口部の大きさだけでは決まりません。想定される浸水高さや求める止水性能、災害時に設置できる人員、床面や壁の状態、平常時の利用方法などを総合的に確認することが重要です。

開口部の幅

シャッターや搬入口は開口幅が大きいため、製品が対応できる幅だけでなく、中間支柱の有無やパネルの分割方法なども確認します。

想定される浸水高さ

ハザードマップや過去の浸水状況、周辺の地形などを参考に、どの程度の高さまで水が来る可能性があるかを確認します。

求める止水性能

同じ浸水高さに対応する製品でも、漏水量や止水性能は異なります。どの程度まで水の侵入を抑えたいかを確認します。

設置に使える時間と人員

豪雨時に誰が、何人で、どの程度の時間で設置できるかを確認します。大型の部材では、重量や設置場所までの運搬方法も重要です。

設置場所の状態

床面の段差や凹凸、勾配、柱・壁の位置、シャッターレールなどによって、設置できる方式や必要な施工が変わる場合があります。

平常時の利用・保管

車両・人の通行や搬出入への影響を確認します。脱着式や自立式では、部材の保管場所と災害時の取り出しやすさも重要です。

シャッター・搬入口の止水対策にかかる費用

シャッター・搬入口の止水対策は、開口幅や止水する高さ、選ぶ方式、施工内容などによって費用が大きく変わります。製品価格だけではなく、設置場所の条件を含めて確認することが重要です。

開口幅・止水する高さ

開口幅が広く、必要な止水高さが高くなるほど、必要な部材や設備の規模が大きくなり、費用も上がる傾向があります。

止水方式・施工内容

脱着式、常設式、自立式、簡易固定式など、選ぶ方式によって製品価格や必要な施工内容が異なります。

床・壁などの設置条件

床面の状態や壁・柱の位置、既存設備との取り合いなどによって、下地工事や追加施工が必要になる場合があります。

費用の目安

小規模な対策では数十万円規模から検討できる場合があります。一方、開口幅の大きな搬入口や常設設備では100万円を超えるケースもあり、条件によっては数百万円規模になることもあります。

現地調査前の段階では概算をご案内し、正式な見積金額は、現地調査で設置条件を確認したうえで決まります。